天女を娶る~海乱鬼焼船の章~90

天女を娶る~海乱鬼焼船の章~90






「あ、吃驚した…天女様が降りておいでになったのかと思った…」

その娘さんはそう言って此方に笑い掛ける

「え?天女って…私の事、なの?」
そう返すと、娘さんは面白そうに笑う
「他に誰が居ると仰るんです?本当にあの方が言っていたように面白い事を仰る方。」
そう言ってクスクスと笑う。

若い子の可愛らしい反応なのに、その姿を見ると余りに痩せて…笑い顔で返す事が出来ない

「まずは、診察を…させて頂ける?病名は、前の医師に告げられていらっしゃいます?」
そう言えば、この娘さんの病名を父親の口からも、女中さんからも聞いていない

「はい、告げられております。」
娘さんの側に置いてある椅子に座り、娘さんの脈を取る

娘さんの陽気さと反比例するようにその脈はかなり弱い。
その身体は随分と弱っている感じがする

「あまり聞いた事の無い病名ですが…『子宮癌』とお聞きしております。
子を育てる室に病巣があるそうで…」

その子は言って笑う

「その…前に来ていた医師が、そう…告げたの?父上は…その名を聞いてお分かりになった?」
娘さんに言うと娘さんは答えてくれる

「父も…そう、詳しくは無いようでしたが…聞いた事があると言って居ました」

『聞いた事がある』と言う事は、この世界の人では無いと言う事の証のような物で…
その娘さんに思い切って聞いてみる

「あの…お父様はこの辺りでお生まれになられた方?」
そう、聞くとその娘さんは私の後ろを気にする

「あ…私に付いて来てくれた人と、こちらの女中さんは隣の部屋にいらっしゃるわ?
言い難い事なら言わなくてもいいですけど…」
そう言うとその娘さんは私を手招きする

「言い難い訳ではありませんが、梟様が…貴女以外にはそう言う事は言わぬ方が良いと仰り…」

私に耳打ちするようにその人は言う

「あの…父の生まれは此処高麗ではありません…
自分の生まれは確か…19…80年と言って居ました…
この地にやって来たのは…確か、92年頃だと…、梟様はこれでお分かりになられたようなのですが…、あの、侍医様にもそう答えよと仰って…
お分かりになられます?」

その娘さんはそう言った

1980年?この地でその年号の生まれの人って…やっぱり…
さっきの思わせぶりな質問も、私に名を告げた時の間も…やっぱりそう言う事?

92年からこの地に居るって事は…12歳の頃に門を潜ってやって来たって事よね?
あの方は今幾つ?
この娘さんはじゃあ、彼方生まれの父と此方で生まれ育った母との子供と言う事…

12歳なら高麗の名将、崔瑩の名くらい知ってるだろうし…もしかして、歴史好きな子なら崔瑩の妻の事位知ってるかもしれない…

「あの…侍医様?」
娘さんはそう言って此方を覗き込む

幾つ位かしら…お若いのだろうけど、既に病が進んでいるんだろう…
青白く、瘦せた体…
指だってこんなに骨ばって…

「梟様から…『告知』は済んでおります…その、命の尽きるまでの期間も予想の上ですが…聞いております。」

梟は、全てをこの娘さんに告げていた…その上で、この親子は今回の婚姻の話を進めていると言う事になる…
この娘さんは…今回の事を何処まで知ってるの?

「後…三月も持たぬと、最後にお出でになられた時…仰いました。
勿論、父もその場に居りましたので…知っております。
知った上で、私達はあの方に求婚書を送らせて頂きました…」

何かを知り、そして何か心に決めた風の娘さんは私の方じっと見ながらそう言った








「娘は後、三月無いそうだ…」
その方は俯きそう言った

「三月…とは?」
急に出て来たその期間の事を問う。

「娘の命の尽きるまでの期間の事だ…」

一体、何の話なのかと思ったら…まさかそんなに早く…

「それなのに…俺に求婚書を?
馬鹿げてる…、それは娘御は承知して?」

聞くと、その方は頷き…

「娘は…進んでこの話に協力させて欲しいと願い出たのだ…
故に、此方としてもお前にはこの話…何としても飲んで貰わねばならぬ。」

その方は、かなり厳しい視線を此方に向けながら言う

話の本筋に近づきはしたが…まだ、本筋に辿り着いていない様で…
何故、後三月も命が無いかもしれぬ娘と俺との婚姻を願うのか、謎ばかりが深まる
その方の口から出て来る話は、驚きばかりで…

頭の中は混乱に満ちている…





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※昨日は大変失礼しました。
昨日の詳しい経緯などはアメブロさんの方でこの後書かせて頂きます


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by 2540hnnhk | 2017-03-20 12:52 | 天女を娶る | Comments(0)

「信義~シンイ~」に魅せられてその後のお話を綴っています。イラストも描きたい物を描いています


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